最新のお知らせ一覧

ホームページリニューアルのお知らせ
2013年01月17日

1月17日より、当院のWebサイトを大幅にリニューアルいたしました。
リニューアルでは、トップページのアドレス(http://www.hattanmaru.jp/)に変更はありませんが、トップページ以外のページのアドレスが変更になりました。ブックマーク等に登録されている方は、お手数をおかけしますが変更をお願いいたします。
今後とも、分かりやすいホームページとなるよう、内容の充実を図ってまいりますので、引き続きご利用いただけますようお願いいたします。

バランス能力と身体機能の関連性
2010年11月30日

バランス能力と身体機能の関連性
―高齢者と若年者の比較と運動介入から―

医療法人 慈圭会 八反丸病院  
中村 裕樹 五十峯 淳一 竹内 明禅 竹内 直人 出水 孝明 斉野 仁 
有馬 淳二 早田 善幸 繁昌 教子 三ヶ尻 祐太 高智穂 弥与 
八反丸 健二(MD)
【key word】バランス評価 高齢者 運動介入

【目的】
加齢に伴う身体機能の低下は周知の事実である。わずかな機能低下は、日常生活に支障を来さなければ問題とならないが、一線を越えたとき特に高齢者では複合 的な障害を引き起こす可能性がある。初めのうちは立ち上がり・片脚立位保持能力といった筋力やバランス能力の低下が問題となり、徐々に移動能力の低下と進 展し生活上での転倒リスクを増大させる。その為、バランス能力と身体機能への理学療法の介入は重要となり、老化・転倒予防の課題と考える。
今回我々は、高齢者と若年者のバランス能力と身体機能を評価比較し、さらに運動指導を行いその効果を検証し若干知見を得たので報告する。

【方法】
対象は、転倒の経験がない当院外来通院中の独歩可能な患者32名(男性11名・女性21名、平均年齢74.1±6.1歳、下肢疾患7名・脊椎疾患24名・ 上肢疾患1名)と健常若年者31名(男性20名・女性11名、平均年齢26.8±4.4歳)とした。本研究に際し、被験者に対して研究趣旨を説明し同意を 得た後に測定を行った。測定項目は、下肢可動域、握力、開眼片脚立位保持時間、5回連続椅子からの立ち上がり動作時間、起立安定域テスト、Reach  Test(RT)としてFunctional Reach Test(FRT)・Lateral Reach Test(LRT)とした。可動域以外は2 回計測後その平均値を用いた。起立安定域テストとしては、床反力計を用い前後・左右方向への随意的最大重心移動範囲を測定するクロステスト(CT)を実施 し、最大足圧中心変位(COP)と矩形面積(RA)を測定した。FRTはDuncanらのスライド法に準じて測定し、LRTも同様に左右それぞれ測定し た。転倒に対する不安の有無についても質問した。統計解析は若年者群と高齢者群をスチューデントのt検定を使用し比較検討し、さらに高齢者群の各測定項目 をピアソンの相関係数検定により関連性を求めた。次に、高齢者に対し運動介入として片脚立位保持・椅子からの立ち上がり動作・CTを指導し2週間後に再度 測定を行なえた23名(男性8名・女性15名)に対し対応のあるt検定を用い比較検討した。有意水準はp<0.05とした。

【結果】
高齢者と若年者の比較において、下肢可動域については股関節外転において有意差があり(p<0.05)、膝関節屈・伸展(p<0.01)及び 足関節底・背屈でも有意差を認めた(p<0.05)。5回連続椅子からの立ち上がり動作時間では、両者間で約2倍の開きがあった。そしてCOP、 RA、FRT、LRTでも有意差を認めた(p<0.01)。X軸及びY軸COPにおいて若年性と比べX軸方向で57%、Y軸方向で52%と両方向で 高齢者の重心移動範囲の減少を認めた。開眼片脚立位保持時間は平均25.4秒であった。また、高齢者群においてCOPとRTおよびFRTとLRTの関連性 は次の通りだった。X軸COPとFRTは右r=0.61・左r=0.73、Y軸COPとLRTは右r=0.59・左r=0.45、FRTとLRTは右 r=0.68・左r=0.66と有意な相関を認めた。運動介入については、5回連続椅子からの立ち上がり動作時間・Y軸COP・RA・LRTに有意差を認 めた。転倒に対する不安があった者は3名(9%)であった。

【考察】
身体機能の経年変化として、Funatoらは、筋力は20 歳代をピークに徐々に減少し80歳代では20歳代の50%以下になると報告している。5回連続椅子からの立ち上がり動作時間の結果からも臨床上でも筋力判 定の指標として有用と考えられる。立ち上がり動作時間では、14.5秒が転倒リスクの判定に有用であるとの報告があり今回のデータでは10.3±3.1秒 となりその範囲内であった。対象者は転倒に対する不安はないものの身体機能としては転倒の危険性をはらんでいるものと考えられ、注意を促す必要がある。さ らに下肢可動性の狭小は、筋力を十分に発揮する上での阻害因子となる可能性があるため柔軟性の確保は重要と考える。また、静的バランス評価として開眼片脚 立位保持時間を動的バランス評価としてCT及びRTを測定し、有意な相関を認めた。FRTとLRTの関連性についてBenjaminらは相関があったとし ており、本研究からも同様の結果になり更にはCTについても関係性があった。今後は、転倒経験者や転倒により骨折あるいは手術をした患者を対象とした調査 を行ない機能評価判定に用いたいと考える。運動介入については、筋力と左右方向へのバランス改善に効果が認められ、側方安定性には有効であることが示唆さ れた。しかし、今回の指導としては期間についてのみであり、運動内容や頻度および運動量などに更なる検討が必要と考える。


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高校野球投手の可動域の特性
2010年08月30日

高校野球投手の可動域の特性

医療法人 慈圭会 八反丸病院 
中村裕樹・竹内直人・永留篤男
鹿屋体育大学保健管理センター 
藤井康成          

【目的】
我々 は、平成16年より鹿児島県の高校野球選手に対し、メディカルチェックによるコンディション調整を年2回行ってきている。これまで肩関節回旋運動での投球 側と非投球側の比較検討は諸家により報告されているが、それは肩関節複合体(以下、SHj)としての検討がほとんどである。回旋運動を臼蓋上腕関節(以 下、GHj)と肩甲胸郭関節(以下、STj)のそれぞれの動きを測定している報告は少ない。今回我々は回旋及び水平内転の測定を行い、更に練習状況等も調 査し若干の知見を得たので報告する。

【方法】
平成18〜21年にメディカルチェックに参加した投手76名(年齢16.3±0.6歳、右投げ63名・左投げ13名)を対象にした。測定に際し、同意を得ている。
調 査は1.肩関節可動域として、坐位で1st・2nd・3rdポジションでの内・外旋及び水平内転域をGHj・SHjで測定し、投球側と非投球側で比較検討 した。2.アンケート調査として、調査時点での傷害の有無・部位を答えてもらった。更に投球フォームに関して、選手自身が投球の際に気をつけている点を聞 き、投球動作周期で検討した。

【結果】
結果1.各肢位による角度比較
1st外旋においてGHjは、投球側 68.4±17.8度・非投球側69.3±15.8度で、SHjは投球側78.4±14.3度・非投球側79.8±12.6度であった。2nd外旋におい てGHjは、投球側95.7±10.6度・非投球側92.7±8.3度で、SHjは投球側113.8±14.4度・非投球側107±14.6度であった。 SHjにおいて有意差を認めた。3rd外旋においてGHjは、投球側98.9±9度.・非投球側96.6±7.1度で、SHjは投球側 106.8±11.1度・非投球側103.9±9.1度であった。2nd内旋においてGHjは、投球側34.3±14度・非投球側50.8±14.4度 で、SHjは投球側66.7±19.6度・非投球側77.2±17.1度であった。GHj とSHjにおいて有意差を認めた。3rd内旋においてGHjは、投球側18.9±20.5度.・非投球側31.1±17.7度で、SHjは投球側 31.1±22.4度・非投球側42.3±17.8度であった。GHjにおいて有意差を認めた。水平内転においてGHjは投球側102.6±9.7度・非 投球側107.5±9.4度で、SHjは投球側129.3±10.1度・非投球側134.5±13度でGHj とSHjにおいて有意差を認めた。
結果2.疼痛部位別
問 題のある選手は、76名に対し28名で、肩・肘に問題のある選手は20名であった。上肢に疼痛がある選手とそうではない選手の間で、肩関節角度に有意な差 は認めなかった。投球フォームで気を付けている点として約8割が「体の開き」や「リリースポイントを前に」など、コッキング期及び加速期に注意をしてい た。

【考察】
投球動作の反復により回旋可動域が外旋方向へシフトし、肩後方組織の伸張制限・拘縮による内旋制限を引き起こすとさ れている。今回の我々の調査においても、第2肢位での回旋域は投球側及び非投球側でそれぞれ180.5度・184.2度となり、その内外旋と内旋の割合は 投球側が63%・37%で、非投球側が58%・42%となる。この割合の変化が、投球動作における回旋運動の特徴的なものと考えられる。更に、水平内転に おけるGHjとSHjの投球側の可動域低下も肩後方組織の短縮による影響が大きいと考えられる。
第2肢位回旋と水平内転における肩甲骨の動きを見 てみると、回旋において外旋・内旋ともに非投球側より投球側の方が3.8度と6度と範囲が拡がっている。特に、内旋はGHjの制限を肩甲骨の動きで補足し ようとしていると考えられる。水平内転での肩甲骨の動きは、投球側と非投球側それぞれ26.7度と27度とほぼ同じ値で肩甲骨の運動の違いはあまり考えら れない。更に、内旋と水平内転のGHjの非投球側と投球側の差は16.5度と4.9度となる。両運動とも後方組織の拘縮による制限が考えられるが、水平内 転に比べ内旋の方が関節包を含めより多くの組織の関与があるのではないかと推測される。

【まとめ】
これまで、投球による内旋制限 は経験上でSHjとしての制限として捉え、理学療法の介入を行なってきた。今回の測定によりGHjの制限が顕著になることによって特に内旋運動を阻害して いることか分かった。今後、臼蓋上腕関節に対する効果的なストレッチを検証し、障害予防による安全な投球を考えて生きたい。


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注意障害と左半側視空間無視における障害特性について
2009年01月09日

注意障害と左半側視空間無視における障害特性について
―聴覚性注意検査を用いての比較―

大迫裕二1)、瀬戸山弘貴1)、本松逸平1)、八反丸健二1)、窪田正大2)
1) 医療法人慈圭会 八反丸病院 
2) 鹿児島大学 医学部保健学科 作業療法学専攻

【はじめに】
右 大脳半球損傷患者は、注意障害(Attention Disorder;AD)や左半側視空間無視(Unilateral Spatial Neglect;USN)等を合併しやすく、その場合、単一障害より重複障害の方がリハアプローチに難渋する。そこで今回、ADのみを合併する患者群 (AD群)とADとUSNを合併する患者群(USN群)において注意機能とUSNにおける障害特性に関して横断的に検討した。

【対象と方法】
八 反丸病院に入院しリハを実施した右大脳半球損傷患者9例をAD群4例とUSN群5例の2群に分類しClinical Assessment for Attention(CAT)の下位検査項目で聴覚性検査であるAuditory Detection Task(ADT)とPaced Auditory Serial Addition Test(PASAT)を用いて比較した。なお、認知症や意識障害等を合併したものは除外した。

【結果と考察】
1.ADT の正答率を比較するとAD群89.5±9.1%、USN群60±29.5%、また的中率はAD群58.3±26%、USN群34.8±15.6%といずれ もUSN群が低下していた。さらにfalse negative(fn;ターゲット音に反応しなかった誤り)はAD群6±4.3個、USN群が11.8±15.3個、false positive(fp;ターゲット音以外の音に反応した誤り)はAD群43±34.8個、USN群が89.8±60.5個とそれぞれUSN群の誤反応数 が共に多かった。
2.PASATの正答率を比較すると2秒用はAD群11.7±1.5%、USN群9.1±7.5%、1秒用はAD群21.7±18.3%、USN群7±5.3%といずれもUSN群が低値を示した。
加藤(1995)は、注意の聴覚性検査であるADTにおいてADのみを合併する患者群とADとUSNを合併する患者群を比較すると、ADとUSNを合併する患者群において明らかに誤反応数が増加することを報告しており、今回のADTのfnとfpの結果とも合致していた。
また近年、砂原(2005)らはUSN患者において聴覚性課題で障害が認められたという報告をしており、さらにMyers(1999)は、USNは視覚に おいて最も観察されるが聴覚、触覚、臭覚、視覚の各モダリティにおいても起こりうると報告しており、今回の聴覚性検査であるADTおよびPASATの結果 とも合致していた。
これらの結果より、注意障害が基盤にある患者が左半側視空間無視を合併すると、視覚性検査のみでなく、ADTやPASATのような聴覚性注意検査も重度化することがわかった。

 

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少年期サッカー選手における障害発生について
2009年01月09日

少年期サッカー選手における障害発生について
-フィジカルテストからの予測-

Key word:少年サッカー、フィジカルテスト、タイトネステスト
医療法人慈圭会 八反丸病院 リハビリテーション部
佐田直哉、臼元勇次郎、成田真、竹内明禅、五十峯淳一

【はじめに】
ス ポーツにおけるタイトネスと障害発生の因果関係は多数報告されている。しかし、スポーツ競技では競技の動作特性を考慮する必要があり、タイトネステスト (以下、TT)のみでは障害発生を予測する事は不十分と考えられる。我々は平成18年よりメディカルサポートを行っている地域少年サッカークラブにおい て、日本サッカー協会が推進するフィジカルテスト(以下、FT)を取り入れた測定を実施している。今回、FTおよびTTのデータを基に障害発生についての 検討を行ったのでここに報告する。

【対象】
対象は、平成18年4月〜平成20年3月までに地域少年サッカークラブに所属する小学 生18名(年齢11.5±0.5歳、身長141±6.4cm、体重33.4±5.4kg)である。内訳は、6年生(以下、6年群)が9名、5年生(以下、 5年群)が9名であった。尚、対象者には事前に研究の主旨を説明し、同意を得た上で測定を行った。期間中に障害を呈した選手は5名であった。その内、4名 は5年生時の発生であり、それらを障害群(以下、S群)とし、コントロール群(以下、C群)はS群と同年齢である選手5名とした。

【方法】
FT の項目は、20m走・50m走・ロングキック・スローイン・バウンディング(以下、BD)・10mシャトルランを測定した。またTTの項目は、指床間距離 (以下、FFD)・SLR・殿踵間距離(以下、BHD)・足関節背屈・股関節内旋を測定した。各測定項目において、6年群と5年群およびS群とC群での比 較を行った。統計処理は対応のないt検定を用い、危険率は5%未満とした。

【結果】
1)6年群と5年群での比較は、FTではすべての項目において6年群が有意に高かった。TTではFFD・右BHD・左股内旋で6年群が有意に低い傾向を示した。
2)S群とC群での比較は、BDでS群が有意に高値を示した(p<0.05)。また、その他のFT項目では統計学的に有意差は認められなかったが、各項目の平均値はS群が高かった。TTでは左SLRでS群が有意に低値を示した(p<0.05)。

【考察】
学 年間の比較では、FTとTTで有意差を示した項目があったが、6年時では障害発生がなく、今回はこれらの項目の関与は低かったと考えられる。S群とC群の 比較では、BDでS群が有意に高値を示し、左SLRで有意に低値を示した。これらの障害発生に関与する要因として、少年期では骨端線の未閉鎖など身体的に 未発達であること、個々の成長度と異なる過度な運動量、5年生という年代では技術的に未習熟であることが考えられる。また、少年期では骨と筋腱の不均衡か ら軟部組織の緊張が高くなると報告されており、軸足である左股関節の柔軟性低下が関与すると考えられる。よって、5年時ではTTが低値を示し、さらにFT でBDの数値が高い選手に対しては頻回に状態観察を実施し予防の必要があると考える。


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足関節捻挫の予後予測の検討
2008年05月27日

足関節内反捻挫後の復帰期間の検討
〜X線画像より〜

Key words: 足関節内反捻挫・X線正面像・復帰期間
○竹内 明禅・用皆 正文・中村 裕樹・五十峯 淳一・八反丸 健二(MD) 
【目的】
足 関節内反捻挫はスポーツ競技に限らず日常生活においても多くみられる外傷である。臨床上、X線において脛骨と腓骨の離開と脛骨に対する腓骨のアライメント に変化を認める場合がある。そこで、脛骨と腓骨のアライメントが受傷後の回復時期へ影響を及ぼすのではないかと考えた。
今回、内反捻挫後のスポーツ競技復帰及び日常生活復帰までの日数(以下、復帰期間)を調査し、X線上での定量的測定値がどのように復帰期間と関係があるのかを研究したので報告する。
【方法】
対 象は、当院にて足関節内反捻挫と診断を受けた38名(以下、N群:男性21名・女性17名、平均年齢:34.2±19.7歳)とし、障害度は1度:10 名、2度:22名、3度:6名で全て受傷後1±0.91日以内に受診した新鮮例とした。また、対象群としては足関節に器質的な問題のない健常人38名(以 下、C群:男性19名・女性19名、平均年齢:26.8±5.58歳)とした。    
方法は足関節X線正面像よりa.正面天蓋角b.内果傾斜 角c.果間傾斜角d.外果傾斜角(脛骨長軸に対して腓骨下端と距骨上外側を結んだ角度)e.脛腓骨間距離の5項目を実測した。以上よりN群とC群での各々 の測定値についてt検定を用いて比較検討し、N群に関しては障害度別に復帰期間に対する相関係数をピアソン積率相関分析にて分析した。
【結果】
1.C群と比較してN群のd、eは有意に高値を示した。(p<0.01・p<0.01)
2.N群において2度のd・e、3度のdは復帰期間に対してそれぞれ高い相関を認めた。(r=0.73・r=0.67、r=0.83)
【考察】
結果1より、足関節内反により距骨は回外に加えて水平面上での回旋や前外方への突出が起こる。その為、外力に対する骨性の制動が減少していることが考えら れ、靭帯・軟部組織に伸張応力が集中し脛腓靭帯結合へのメカニカルストレスが生じる。JB Billysによると脛腓靭帯結合は広範囲に小束(4箇所)を持ち、足関節内反捻挫で最も損傷を受けやすいと述べている。さらに前述した距骨の動きで脛 骨・腓骨間の離開が生じるため骨性支持機構への影響が推測され、脛骨に対する腓骨のアライメントに変化が生じたことが考えられる。
次に2度の損 傷は、脛骨・腓骨間の離開により遠位脛腓関節の不安定性をきたすことが予想され、距腿関節の靭帯による機能的安定化に大きな影響を及ぼすのではないかと考 える。よって、足関節全体が特異性機能不全に陥ることが推測され、脛骨・腓骨間に関わる測定項目d・eが復帰期間に影響したのではないだろうか。また、3 度の損傷では外側側副靭帯機構の複合損傷を伴うことが考えられ、脛骨・腓骨間の離開よりも脛骨に対する腓骨のアライメントがより復帰期間に影響するものと 予想する。
今回の調査で内反捻挫時に脛腓骨間距離と外果傾斜角を計測することで復帰までの足部の機能的回復とパフォーマンスへの影響を推測することができるのではないかと考える。


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UUMNディサースリア者に対する機能訓練
2008年02月01日

UUMNディサースリア者に対する機能訓練
〜一側性中枢性顔面神経麻痺に対するCIセラピーの効果〜
医療法人 慈圭会 八反丸病院
松尾 翼
【はじめに】
一 側性上位運動ニューロン性ディサースリア(以下UUMNディサースリア)は、比較的高頻度で一側性の顔面神経麻痺を認めると Duffy(1996,2005)やMelo(1992)は報告している。しかし、有効な訓練方法についての報告は検索し得た限りでは、菅原らおよび数例 と少ない。
今回、UUMNディサースリア者の一側性顔面神経麻痺に対してconstraint-induced movement therapy(以下CIセラピー)を12週間実施し、4週毎に経過を追ったところ、比較的有効な結果が得られたので報告する。
【CIセラピーとは】
CIセラピーとは健側の使用を制限して患側に集中的な運動を行わせることで改善を図るとするもので、本来は上肢の治療手技として報告された。しかし,西尾らによって一側性顔面神経麻痺者に対する治療手技として転用され、有効性が示唆されている。
【対象・方法】
対象は8事例。男性6例、女性2例。年齢は70.9±17.9歳。病名は全事例脳梗塞である。損傷部位は、右半球損傷4例、左半球損傷3例、脳幹損傷1例 である。重症度は、40点柳原法による重症度分類で判定し、中等度7例、重度1例である。また、全事例にMMSEおよびレーヴン色彩マトリシス検査を実施 し、訓練可能な認知機能が十分に保たれていることを確認した。
方法は、西尾ら(2007)によるCIセラピーの実施法に基づいて、口唇の横引き・突出・閉鎖の3課題を実施し、各課題時にそれぞれ「イー」、「ウー」、「ンー」の発声を併用した。
効果判定は、標準ディサースリア検査(以下AMSD)の口唇機能(横引き・突出・閉鎖・筋力)および40点柳原法を訓練開始時から4週毎に計4回行った。
訓練頻度は5日/週。また、等尺運動理論より1〜3セット/日、8回〜10回/セット行った。筋力強化訓練は3〜5秒/回を、持久力強化訓練は8〜10秒/回を目安に行った。
【結果】
AMSD口唇機能の初回評価時は1.94±0.44/3、訓練開始4週時2.34±0.84/3、8週時2.63±0.38、12週時2.84±0.59であった。
40点柳原法の初回評価時は26.75±4.75、訓練開始4週時31.0±7.0、8週時33.5±5.5、12週時35.25±3.25であった。
全事例の平均改善値はAMSD口唇機能で4週時平均0.41、8週時平均0.28、12週時平均0.25。40点柳原法では4週時平均4.25、8週時平均2.25、12週時平均1.75であった。
【考察】
非 麻痺側の運動を強制的に抑制することにより麻痺側の使用を促通した。その結果非麻痺側による運動の制御が解け、麻痺側の運動機能改善に繫がったと考えられ る。また、中等度のUUMNディサースリア例で比較的短期間の訓練により麻痺側の運動機能改善を得られることが示唆された。重度の事例では、短期間での改 善は図れなかったが、4週経過時より改善を認めており、長期的な展望では、かなりの改善が得られることが示唆された。


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UUMNディサースリア2例の臨床経過
2007年09月11日

医療法人慈圭会 八反丸病院    松尾 翼
第1リハビリテーション専門学校  木村 隆
新潟国際医療福祉大学       西尾 正輝

【はじめに】
UUMNディサースリアは比較的発現率の高いタイプだが,国内の臨床経過に関する先行報告例は我々が検索しえたのは菅原ら(2003)および数例のみである。今回,ほぼ同等の経過を示したUUMNディサースリア2例を経験したので報告する。

【症例(1)】
70 歳代女性。平成18年10月発症。医学的診断名は右放線冠のラクナ梗塞。発症後約3週間後当院転院。標準ディサースリア検査(AMSD)を実施。発話明瞭 度は2.5/5。主な聴覚的発話特徴は発話の短い途切れ,声量低下,粗糙性嗄声,構音の歪み,プロソディー障害を認めた。発声発語器官検査では主に中等度 中枢性左顔面神経麻痺を認めた。

【症例(2)】
70歳代男性。平成18年10月。医学的診断名は左脳幹梗塞。発症後約3週間後当 院転院。AMSDを実施。発話明瞭度は2.5/5。主な聴覚的発話特徴は発話の短い途切れ,粗糙性嗄声,気息性嗄声,開鼻声,構音の歪み,プロソディー障 害を認めた。発声発語器官検査では主に軟口蓋挙上不全,中等度中枢性右顔面神経麻痺および右舌下神経麻痺を認めた。

【主要治療プラン】
機能障害:#1顔面の機能回復訓練 #2舌の機能回復訓練 活動制限:#3発話速度の調節訓練 #4構音訓練

【臨床経過と考察】
上 記の訓練を12週間実施した結果,機能障害レベルでは2症例ともに顔面の運動範囲の拡大を認めた。症例?では,舌の筋力低下および鼻咽腔閉鎖機能不全は若 干残存した。活動制限レベルでは,強制的な発話速度調整法のフレージング法を選択し,その後症例?は明瞭度改善に伴い(2/5)リズミックキューイング法 へ移行した。症例?は発話明瞭度の改善は認めたが(2/5),フレージング法を継続した。2症例ともに機能障害レベル(顔面)の改善はほぼ同様に進み,山 川らも約12週間で顔面の運動範囲の拡大を認めたと報告している。以上より,UUMNディサースリア例に対する口腔構音機能訓練の有用性が示唆された。


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年齢と腰仙角が大腰筋に及ぼす影響について
2007年09月11日

キーワード:MRI・大腰筋断面積・腰仙角
医療法人 慈圭会 八反丸病院
中村 裕樹 リハビリテーション部
八反丸 健二 医師
屋部 太輔 放射線室

【目的】
日 頃臨床で、患者の評価をする時に評価結果と腰部MRIを比べながら今後のリハビリテーションの展開を考えることが多い。その際に脊柱管ばかりをより注目し がちである。しかし、脊柱を取り巻く筋もおざなりに出来ない。そこで今回大腰筋にスポットを当てて、面積や縦・横径について検討し、更に筋断面と腰仙角に ついても検討したので報告する。

【方法】
対象は当院で腰部MRIを撮影した患者207例(男性76例・女性131例、平均年齢63.8±19.9歳)であった。第4腰椎上縁で横断された画像を用い、左右の大腰筋の縦径・横径と筋断面積と第4腰椎々体面積を測定し、10代〜90代の各年代で比較検討した。
ま た、対象の中で静止立位側面腰椎X線像を撮影した31例(男性13例・女性18例、平均年齢61.8±17.9歳)について腰仙角を測定した。健常群の腰 仙角の平均値は35度であったので、35度を中間値とし対象者を35度未満の群と35度以上の群で分け、各群の大腰筋断面積について比較検討した。

【結果及び考察】
1.年代別に椎体面積を比較した結果、有意差は認められなかった。
2.年代別に.筋断面積を比較した結果、各年代で有意差があった。更に30代までの断面積と比べ80代以降では1/2の値であり加齢に伴う筋力低下が示唆された。
3. 年代別に縦径・横径について比較した結果、各年代で有意差を認めた。縦径は加齢に伴う変化は少ないが、横径は加齢による変化が大きかった。これは筋繊維が 上位の腰椎から始まるものは外側へ、下位の腰椎は内側へと層状に配列していることにより前後の変化より左右の繊維の萎縮がまず起こるのではないかと推察さ れた。
4.腰仙角35度未満と35度以上の群を比較した結果、筋断面積に有意差を認めた。腰仙角と腰椎前弯との関連は鈴木らによると腰仙角が増大 すると前弯角も増大するという関係にあると述べており、腰椎前弯の増大は体幹を伸展方向へと作用し、大腰筋へより負荷が生じることになる。今回も35度以 上の群でより高い値を示し影響が示唆された。しかし、腰仙角と腰椎の動きには個々で固有なものがあり一概に言えないところもあり、より詳細な姿勢と筋力の 分析を行い訓練することが必要と考える。それにより何によってもっとも影響を受けるのか、腰痛の軽減効果や他の筋群との関連性が今後の課題である。


ファイルダウンロード:年齢と腰仙角が大腰筋に及ぼす影響について(PDF)

股関節の可動性とスイング速度の関係
2007年09月11日

〜インサイドキックに着目して〜
医療法人 慈圭会 八反丸病院 リハビリテーション部
竹内 明禅・高松 真理子・竹内 直人・五十峯 淳一
Key Word:インサイドキック・股関節外旋、屈曲・スイング速度

【はじめに】
サッカーにおいてキックの技術は重要かつ最も基本的な技術である。その中で、インサイドキック(以下、IK)は他のキックより膝関節等の動きがさほど関与 しない為、股関節の可動性が重要なキックであると考えられている。しかし、股関節筋力とキックスピードの関係についての報告はあるが、関節の可動性とスイ ング速度の関係についての報告は少ない。
今回、3次元動作解析装置を用いて股関節の可動性とキックスイング速度との関係について研究し、若干の知見を得たので考察を加え報告する。

【対象と方法】
対 象は下肢に問題がない鹿児島県社会人サッカーチームに所属する選手30名(男性)とし、平均年齢25±2.9歳、蹴り足:右側24名・左側6名であった。 方法として関節可動域(以下、ROM)訓練前後で蹴り足側の股関節のROMをゴニオメーターにて実測した。ROM訓練は関節運動力学における関節内運動を 考慮して実施した。尚、測定は治療者以外の同一検者とし、測定時の抵抗量は徒手筋力測定器を使用して均一に調整した。次に超音波式3次元動作解析装置 (Zebris社製)を用いてIK時のスイング速度を訓練前後2回ずつ計測し、平均値をデータとした。キック動作はワンステップとし、ボールからの距離を 計測して助走距離を同じにした。以上より訓練前後での股関節の可動域とスイング速度を対応のあるt検定を用い比較検討し股関節の可動域の変化とスイング速 度の変化値をピアソンの積率相関分析を用いて分析した。

【結果】
1.スイング速度及び股関節の可動域は訓練前と比較して訓練後が有意に増加した(p<0.01)。
2.股関節外旋・屈曲の可動域のみスイング速度の変化した値に高い相関を認めた(r=0.82・0.72)。

【考察】
ま ず、布目によるとIK時に股関節の伸展・外旋・屈曲・内旋とういう連動した動作をスムーズに行うことでスイング速度を早めることができ、可動域の向上とス イング速度は比例するとある。今回の結果から股関節の可動性を改善することで運動を円滑に行うことが可能となり、バックスイング期からフォロースルー期ま での一連のスイング動作がスムーズになったと考えられ、関節の量的な改善はスイング速度に影響することが示唆された。
また、IKの蹴り方は加速期 に股関節外旋を行うことで足部内側をボールに合わせる。その後、フォロースルー期までボールに対して前方への速度を与える為にはこの外旋を維持したまま股 関節を屈曲していく必要がある。結果2からも股関節外旋・屈曲がスイングスピードへの関与率が高いことが推察される。
今回、3次元動作解析装置を 用いてサッカー選手に対する股関節の可動性とスイング速度との関連性を客観的数値より検証した。そこで、筋力に対するアプローチ以外にも関節の可動性を向 上させることでスイング速度が増加することが分かった。今後は、可動域だけでなく神経・筋力の関与も考慮しつつスイング速度が向上するのかを検討する必要 があると考えられる。


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